$ 0 0 アルプスはかすんで 市街は青く沈んでいる 花曇りの午後 花は終わろうとしていた 北が吹いては花を散らしていた 弘法山 歓声を上げて 幾度も坂を上り下りる 少年と少女たちがいた 花を見ているのでも 空を見ているのでも まして街を見ているのでもなく あの子たちは この大地そのものを 感じていた 両の手を広げて 彼らの生に与えられた 全てのめぐみを感じていた