森のいりぐちの
小さな家の
小さな花壇に
小さなアザミが
住んでいました
半日陰のその場所から
世界というものを見たいと
アザミは背を伸ばしました
伸ばしても
伸ばしても
森の高さには
届きませんでした
伸ばしても
伸ばしても
家の高さにも届きません
アザミは自分が不甲斐なく思えて
幾日も泣きました
泣き疲れて
アザミは思いました
僕はここに生まれて
この地に愛されて
大きくなった
だから花を咲かせよう
甘い蜜をたたえたピンクの花を
ただそれだけ
それだけだけど
あまりに純なピンク色は
半日陰の森のいりぐちを
優しい色に染めました