Quantcast
Channel: ヒヨちゃんが行く!
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1409

射光

$
0
0

日はもう十分に傾いて
草原の草を撫でるように
山影に埋もれていくのでした

スリットのような
光線を踏もうと
光を追いかけたのですが
あっという間に
あたりは山の陰に入ってしまいました

残暑の厳しい今夏ですが
光だけは確実に秋色になっていて
トンボたちの金色の羽根も
赤い胴体も
あちらこちらに煌めきあって
それを追うツバメたちは
あちらの広場 こちらの広場に
集まりだして
もう南の国に
帰る支度に忙しいのでした



移ろう季節の中でも
変わらない何かを
できることなら
涵養して
この生涯を終えられたなら
人は人として生まれた喜びを感じるのだろうかと
すっかり暗くなった空の下
ぼんやり考えました

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1409

Trending Articles