日はもう十分に傾いて
草原の草を撫でるように
山影に埋もれていくのでした
スリットのような
光線を踏もうと
光を追いかけたのですが
あっという間に
あたりは山の陰に入ってしまいました
残暑の厳しい今夏ですが
光だけは確実に秋色になっていて
トンボたちの金色の羽根も
赤い胴体も
あちらこちらに煌めきあって
それを追うツバメたちは
あちらの広場 こちらの広場に
集まりだして
もう南の国に
帰る支度に忙しいのでした

移ろう季節の中でも
変わらない何かを
できることなら
涵養して
この生涯を終えられたなら
人は人として生まれた喜びを感じるのだろうかと
すっかり暗くなった空の下
ぼんやり考えました