黄昏の音
揺れる心 揺れる象 揺れる風 揺れる景 地団太踏んで悔しがって ハラハラ落ちる涙が 日本海に流れて それでも 楽しいって やったぞーって そういう瞬間があるから やさしい黄昏の風の音が 心にツーンと染み入るんだろうな
View Article射光
日はもう十分に傾いて 草原の草を撫でるように 山影に埋もれていくのでした スリットのような 光線を踏もうと 光を追いかけたのですが あっという間に あたりは山の陰に入ってしまいました 残暑の厳しい今夏ですが 光だけは確実に秋色になっていて トンボたちの金色の羽根も 赤い胴体も あちらこちらに煌めきあって それを追うツバメたちは あちらの広場 こちらの広場に 集まりだして もう南の国に...
View Articleアオギリ
アオギリの 大きな木が のっそりと 生えていた 目立たない 木だったし 建物の陰に 隠れてたし 花が咲く時 実がなる時 それぐらい 見ただけで 何年も過ぎ ある日チェ ーンソーで 切り倒され アオギリを 思うことに なったのだ 新棟が建つ 工事の開始 アオギリが 欲しかった あおぞらに クレーンが 伸びていく
View Article虫の音
夜通し鳴いて 太郎を眠らせ 夜通し鳴いて 次郎を眠らせ 明日が晴れますように 明日を微笑んで迎えられますように 明日は傷ついた心も やさしい風になって 歩きだせますように 虫たちは 夜通し鳴いて 祈っている
View Article蜘蛛
蜘蛛は 運動場の フェンスの こちらで 巣を張っている 今年はスポーツの夏だった 有名選手に自分を見たてて トラックを走る少年少女 努力したんだもの スカウトという 蜘蛛の巣に 引っかからないかしら それとも 頂点まで自力で 登ってみようか あんな声 こんな声を 聴きながら 糸でできたトラックに 獲物が引っ掛かるのを ヨウイドンの姿勢で 待っている
View Article女神
そこにも ずっといる ここにも ずっといる そうして歳月を重ねた 女神さまがいました くじけそうになった時の 精一杯頑張った時の 泣きはらした時の 私をその女神さまは知っていて なに言うことなく その掌(たなごころ)に 何時だって 私を遊ばせてくれるのでした 世間さまから見たら小さいけれど 私にとってはそれなりに大きかった 葛藤を誰だって生きている 私の喜怒哀楽の多くを知っている その女神の前では...
View Article見逃すな!
え〜っと、上記展示会でご一緒する、ご夫婦に 同会の紹介記事はですね、先を越されてしまいましたが、 アート・クラフト・ネットワーク主催の アート・クラフト・フェスティバル in 安曇野 2012 いよいよ、開催まで あと一ケ月となりました。 本展示会は作家を育てる発表と交流の場として、 クラフト作家とアート系作家による 16回目の展示を迎えます。 最初はスイス村のサンモリッツでの開催でしたが、...
View Article豪雨の後
すぐ帰宅するからと窓を開けて外出したら 雷雨になってしまいました。 帰宅すると お家の中は水溜りになっていました。 まるで年越しの掃除のような 大掃除状態になりました。 ようやく片付けが一段落して屋外に出ると、 西の空は赤く濁っていました。 まだ降るのかなあと眺めていると 急に二本の線が雲間から浮き上がって ほんの5分間ほど空を突き抜けました。 そして、その二本の光りに照らされた雲の腹が...
View Articleその日の海
深海に潜って 太陽を探して あれが空だと 上昇してみた それは八月の 海の底 押しつぶされそうな 重圧の中で 悶えるように 泳いでいた 九月の海は 凪いでいた 浜辺に落ちていた 異国の少女からの ビン入りの手紙 Etwas andere Zeit いつかまたね かぁ いつかね そのうちね Etwas andere Zeit 海に戻す ビン入りの手紙
View Article記憶
みっちゃんが越してきて 花ちゃんが笑って ケンケンして お手玉した 友ちゃんが越していって 奏ちゃんが泣いて じゃんけんして ビー玉した 宅ちゃんが越してきて 静ちゃんが笑って 部活して 恋をした 恵ちゃんが越していって なっちゃんが行って スマホして 結婚した みんな知ってる 日の当るところ 日の当らぬところ も などかしらねど 日の当らない場所ほど 深い記憶も
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