さがしもの
さがしものは見つかりましたか 探さないと 見つからないけど 忘れた頃に 見つかることも たくさん探したのですから 見つかった時 さがしものが さがしものを 超えることも あるのです あなたの手に ぴったりサイズの さがしものは見つかりましたか ※ コスモス 咲き始めました
View Article風の吹く
凪いだ風が 来し方を 思い起こし 反対方向から 吹き始める 風の 潮目のような 記憶を くすぐる この時間 は 行く末の やはり 記憶から生まれ来る 繋がりの 中 止まりながら 戻りながら 進みながら 風の吹く いずこへと 行こうとも 記憶は記憶 風の吹く
View Articleうすばかげろう
あなたは尻を突き出して 円錐をつくり 蟻はまあるく その縁を歩く 炎天に 足をすくわれた 哀れ蟻たちの 黒き身体の 落ちていく 穴や蟻地獄 やがて あなたは期満ちて 羽を宿す 透明のか細き羽の やわらかな 身体 黒き蟻たちの 透明な魂でできた 所在ない 命の焰 うすばかげろう
View Article衝動
空があるから 飛んで 海があるから 飛ぶ 海があれば 泳ぎ 山があれば 登る 理由はない 羽が心に生えて ある日 心の殻を 飛び出す 衝動になる ※ 行きなさい そして 生きなさい
View Article静かな景色
強風の撮影 静かな 景色が写った 音さえも 削いで 削いで 削ぎ落としてしまえば 静かが 見えるのだろうか なだらかな山姿 平らかな稲田 点描の燕 蒸す風 青空 草 ・ 夢 希望 あした あさって 変わらない 信念のような たいせつな静か 見えるのだろうか ※ 松本市内から臨む午後の美ヶ原方面
View Article二分休符
譜面を追う女性 髪をかき上げた パリパリとし サラサラとし 硬軟入り交じって 音もなく落ちる 女性は 譜面の 二分休符を 指さしている HalfReset 小さな声で 二分休符を叩いた
View Articleある日
ある日 わたしは 河原鶸で 向日葵の 種を食み なにを恐れ なにに怯え 目を閉じる のかを問う 自分自身の 胸のなかに 流線型に落ちる思い 一条のひかり もう 泣く のは 止め よう ある日 わたしは 河原ヒワ
View Articleころころ
秋が坂をおりてきて コロコロ ころころ おりてきて 猫じゃらしを ソワソワ そわそわ ゆらします 美味しい果物 実ってきました 優しい風の 散歩道 とことこ トコトコ 歩きます
View Article右の取っ手 左の取っ手
両開きの戸 右の取っ手 左の取っ手 うまいこと 回せるんだ 最初は努力したんだろうな いつだかわからないぐらい むかしだけれども 今ではもう 眼を瞑っていても まわせるのが当たり前だよ けれどもいつかは回せなく なるかもしれないんだよね その時も努力するんだろう 目を見開いてね満身の力で
View Article夏の午後
信州とは思えない暑さが続いて 道路にはゆらゆらと陽炎。 揺らめきののどかさとは裏腹に 暑さに慣れていない身体は ドロドロと溶けていく プールのバッグを持った親子 かき氷を食べながらコンビニを出る親子 世の中は夏休み アロハシャツだって よりどりみどり 夏の午後 ヒグラシとみんみん蝉と油蝉と 何の協調性もなく 鳴き騒いでいる 子どもが笑った 指をさした先に 自動販売機 駆けていく...
View Article