信州リンゴ
青りんごの青って葉緑素なんだよ え〜っ 知らなかったあ リンゴが赤くなるのは紅葉と同じ え〜っ 知らなかったあ 紅玉は熟れるまで木に付けておくと柔らかくなりすぎるから 完熟前に採るの その採り具合で酸味がちょうど良い加減になるの え〜っ 知らなかったあ リンゴを丸のまま皮を剥くのは 若い人の特徴 え〜っ 知らなかったあ 年を取ると四等分が八等分に もっと年を取るともっと細く分けるの え〜っ...
View Article迷路
海は広く空は広い 迷子になった魂は 担ぐに 形が定まらない どうせ泣いているのでしょう 泣きたいだけ泣いて 眠ったら 迷子の魂が帰ってくる 足音をしのばせ フワフワッと 笑ってご覧よと 口元を緩めて 帰ってくる
View Article優曇華
吉兆とも 凶兆とも 優曇華の華 口まで卵を宿した うすばかげろうは ただひっそりと 産卵管を薔薇の葉にあて スーッと抜いて また一卵 また一卵 優曇華の華を咲かせていく どうして凶兆であることか そのひとつひとつに 未来の安泰であることを願う親心が キラキラ煌めいて 夜を灯しているじゃない
View Article明けない夜はない
逼塞しそうな夜の帳を破って 永遠であることを願う 細い腕の先 絡めた髪が ぬるりと心を洗う 明けない夜はない 心の小箱に誓いを埋めて もうどうしようもなく 明日を生きる 明けない夜はない
View Article初々し
初々しい心を忘れないでいよう どきどきし わくわくし 眠れなかった あの夜も 夜明けの風の ほのかな香り まどろみながら めざめた おどろきも 一回きりの人生だもの であうものすべてが 初舞台
View Article蕎麦の朱り
稲穂はもうじゅうぶん垂れて 黄金の風 汗をかいても すぐに乾く乾燥した晴天 稲刈りの人が あちらこちらに溢れ 蕎麦の花はもう盛りを過ぎ 純白のドレスから 朱いドレスへと更衣に忙しい 一つ終われば次の花が咲く 蕎麦の朱は 明日を染める 朱に染まれば朱くなる この盆地の もう北アルプスの山上は 秋色に明日の朱りを 灯しだしている
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