西日
西日に 目を細めて まぶしいねと あなたは 笑いました ちょっと彫りの 深くなった あなたのお顔 そのお顔が まぶしかった まぶしいねと わたしも 笑いました ちょっと うつむきながら 笑いました
View Articleあかり
灯りの下を 通るたび マッチ売りの少女が そうだったように あたたかい 思い出が 浮かんでくる 淋しくないよ 淋しいけれど 淋しくないよ 大切にされたこと 愛されたこと 楽しかったことは 灯りの中で 浮かんでくるんだ
View Articleあたま
あたま ひとつ でることは むずかしい あたま ひとつ でるための どりょくは 運と 背中合わせ あたま ひとつ でられたら 心から ほめたくなる わたしであっても あなたであっても
View Articleさくら
桜が満開のその場所には 戦争で亡くなった人たちを 悼む碑が建っている 花が添えられている 神籤も結ばれている 恒久的平和を祈っていると 碑には書かれている 桜を植えたのは 戦没者を悼むためだと 植樹した古老が話しかけてきた ソメイヨシノは50年で 木が弱るとは知らなかった ソメイヨシノの盛りよりも 自分は長く生きてしまった もう何年も前のことだ 古老は今年の桜を見たか
View Article海になって
春の雨が 作った 水たまり いつの間にか プールになって いつの間にか 海になった 緑 みどり 翠 みどり 碧 春が 海になって 押し寄せて 心に ザブンと しぶきを 飛ばす
View Article開智学校
調べ物があって夕方、松本市中央図書館に行きました。 資料は見当たりませんでしたが かわりに日本画家の平松礼二、写真家の杉本博司の本を手にとって読みました。 衝撃を受けました。 図書館から出れば、そこは開智学校。 満開を過ぎた桜が強風にあおられて舞っていました。 それでも残り桜の淡いピンク色が美しくて 思わず写真を撮りました。 真昼間のようにこのカメラさんは画像を自動補正してしまいます……...
View Article花吹雪
流れ星に願いをかけるように 花吹雪に願いをかける ひとひら ひとひら 夕日に翻って いく 花吹雪にかけた願いに あたりの くさはらまでが こんもり膨らんで ひとひら ひとひらの 花を 抱く
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