儒艮(じゅごん)
儒艮(じゅごん)たちが 胸に子を抱き ゆらしては 乳をあたえ 海はゆさりユサリと揺れる 眠りなさい 三億年前 信州は海の底 今日は疲れたでしょう 今夜は 森の儒艮の声を聞き ねむりなさい 揺れながら ※ 儒艮 背の低い、丑寅と書きます。陰陽道では丑寅は鬼が出入りする鬼門 豆を撒いて鬼退治をするには あと半月を待たねばなりません
View Article透明
今日がその日 南風が吹いた 透明を載せて 散り敷く花の 潔さ ※ 1月4日に買ったラナンキュラス(紫)が一気に散りました。花びんの水を替えようと抜き取って「お前さん、長生きだねと言った瞬間の出来事でした。あまりに潔い散りっぷりに、どういうわけだか涙が止まらなかったのでした。あなたと生きたじかんの記念写真と、慌ててカメラを取り出して撮影したのでした。
View Article豆莢
広い場所があたえられた豆は大きく育ち 狭い場所があたえられた豆は小さく育つ ※ 日時 2月5日(水)〜3月4日(火) 10時30分〜18時30分 日曜・祝祭日 16時30分まで 水曜・木曜 定休日 2月9日(日)お休み 場所 re−フォレスト 長野県大町市大町2531−15 (駐車場あり) タイトル BEANS...
View Articleノー・シグナル
岬に分け入った小川をたどると 息が切れるような坂道に出る その道も岬のうちで せいぜい上り詰めても標高30メートルというのだから その小川の小川であることのほうが不思議だった 山頂には小さな石積みの社があり その社の手水の底には 干からびた椿が幾重にも重なって積もっていた 花を近づけても椿の花に香りはなかった ないというのに 椿に香りを感じるのは鬢付け油の記憶か はたまた空想としての椿が醸す香か...
View Articlego on
Go on 言葉にできない思いは 空をかけ 小さな温もりを求める 言葉にしない思いは 地をかけ 涙を拭って 明日を見る Go on 突き進め Go on 明日が来る GO on 切なければ切ないほどに 誰にだって 明日はくる
View Article豆猫
人恋しい 人恋しいという 猫でした ドアを開けた車に 滑り込んできて まろぶ姿は ちょっとした人気でした 3年ぶりに会いました もう大人になっていて ちっとも愛嬌は ふりません ふらないけれど やっぱり豆模様が 愛くるしい まんまるな 猫のままでした
View Articleつた
ひかりを求めてのびて いつしか整然と蔓を伸ばしている つたの文様 懸命に生きた軌跡は 振り返れば 整然としたものがあって いつだって 見た人を魅了するものだろうかと 飽かず眺めていた 焼却場の扉の前で
View Articleボーダー
私は硝子です ときどき おっちょこちょいさんがぶつかって おでこの脂が背の高さに付いています それを掃除のおばさんが ニコニコしながら拭いてくれます あんまりきれいに拭いてくれるから また おっちょこちょいさんがぶつかります 確信犯?
View Article追儺(ついな)
もうさんざん豆を撮るのに豆を拾って、今年はずっと節分状態で今更 追儺の儀式もと、炒り豆をポロポロ口に運ぶ2月3日 追儺の日。 ※ この平和な時代の 平和な国の 本当に怖いのは 心の鬼と などか 涙する 午後 ※ 年の豆わが半生のひと握り 長田蘇木
View Article展示始まりました
大町の「re−フォレスト」での展示始まりました。 「豆」が主役の展示です。 額は少々なのですが、22枚の写真と豆本(どこまでするかと自分でもあきれてます)。 自分でも滑稽なぐらい豆づくしの日々でした。 ちなみに「マメな人ねえ」のマメは「忠実」と書きます。 忠実(ちゅうじつ) 真心を込めてよく勤めること 嘘はったりをしないこと 忠実(まめ) 労苦を厭わずよく働き、達者で、まじめで、役に立つこと...
View Article幻日
見慣れない景色は 人を現実から遊離させ しばし宇宙人として 天の下に生きる喜びを運んでくる 幻のような現実の現実のような幻 いずれも人の生 いずれも愛すべき天土の間合い ※ 海面から5000から13000メートル 氷の結晶を陽光が通り抜け 虹色の笠雲ができる 幻日という その光があまりに眩しくて 帚星が現れたかのようだった
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