てんとせん
「舗装工事」と入力したら 「干そう幸司」と変換された IMEはあいかわらずお馬鹿 でもね変換なんて 点と線をつないで そこに意味のある言葉を考える作業だから とても逆説的なんだよね なんでもいいから わらって み よ う ね ※ 四羽のトンボがわかりますか?
View Article西日
太陽を追いかけて きみの背中に長い影 私の背中にも長い影 ねえどうして こんなに西日が 眩しいんだろう どうしてこんなに 西日は 愛おしいんだろう いくつも幾つも 西日をかぞえて 私たちはたしかに 年をとった それはちょっと淋しい気配を孕んでいて そのくせ優しいねむりをさそう どこまでも どこまでも影は伸びて いく きみの影と 私の影がであう その場所まで
View Article森の道
川端康成はそこをハッピーバレーと書き 堀辰雄は死の谷と書いた 森の道を行く キツツキがドラミングしている シジュウカラが小枝を渡る 誰もいない 石畳の道 人生のステージの吉凶に 景色は違って見える のだろうか 佇むほどに 森は大きく 去来する過去も未来も 木洩れ日となって 砕け広がり 眩しくも 一人
View Articleジュエリー・フィッシュ
八月の水母が満月に集う おおかたは天で悪事を働いて 星の神さまに見放された 哀れな星の残骸の 溜め息でできている 八月は流れ星の月間でもある 北へ南へと星が流れ そのたびに水母たちは オーとため息をつくのである おおかた天の仕事をさぼったとか 嘘も方便とブイブイならして 束の間の私欲におぼれた輩に違いなく ごく稀に極彩色に輝くやつは 誰かをかばおうとして 星屑になったに違いなく...
View Articleへちまのへ
天邪鬼の竜太はハイと言ったことがない だって やっぱり でも ちがう が口癖で朝から晩まで 二階の窓から這い出ては 屋根瓦の上から町を見下ろしている 大ホラ吹きの竜太はデキナイと言ったことがない それはそうだ これはこう あれはおれのだ あれもおれがした が口癖で朝から晩まで 母ちゃんが軒下から眼をはって イイカゲンニオシと怒られている 盆も近くなってヘチマの蔓が...
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